表紙          10



ひとりだけの詩:5

 

1:宇宙の真理

 

もし宇宙の真理というものがあるとしたなら

それは人間の言葉で表現できるものなのだろうか。

もし表現できるとしたなら人間の言葉はすごい。

表現できないのなら宇宙の真理はすごい。

もし宇宙人がいるとして彼らに言葉があったとしたら

彼らの言葉で宇宙の真理を表現できるのだろうか。

どのような宇宙人の言葉でも表現できるほど

宇宙の真理は簡単なものなのだろうか。

宇宙の真理はきっとどのような言葉でも

表現できないものなのだろう。

人間の言葉とはたいしたことはないものなのだろう。

 

2:日本人の自閉症者と英会話

 

日本人の自閉症者の英会話とはどのようなものか。

日本人の吃音者の英会話はやはり吃音らしい。

日本人の早口の人の英会話はやはり早口らしい。

日本人の自閉症者の英会話は成立するのだろうか。

日本人の自閉症者は日本語で会話をする。

日本語の会話が成立するのなら英会話も成立する。

 

3:英英辞典

 

英英辞典はいつから使い始めたらよいか。

好み・気質・性格・性質による。

要するに本人が使いたいときから使えばよい。

本当の英語力を身に着けようと思えば英英辞典は必要だ。

ネイティブと会話をしている時にどうしても思い出せない

単語があったらどうするか。

別の単語で言い換えようとしても思いつかない。

そんな場合はその単語を英語で説明しなければならない。

その説明が英英辞典の記述なのだ。

日本語の単語を英語で説明しようとする場合もそうである。

英英辞典は避けて通れない。

 

4:穴を掘るものはみずからそれに落ちる

 

穴を掘るものはみずからそれに落ちる。

聖書の言葉である。

穴を掘って人が落ちた。

落ちたのは人ではなく自分だ。

落ちたと思うのは幻想であり思い込みだ。

実際に落ちたのは自分である。

これは幻想でも妄想でもなく現実だ。

 

5:くらやみ

 

ライトアップされた紅葉を見た。

この世のものではないうつくしさだった。

たしかにこの世のものではない。

紅葉をくらやみに中で見るのは自然ではない。

自然ではないのにあまりにうつくしい。

なぜあんなにうつくしいのか何度も考えた。

うしろのくらやみがうつくしいのだ。

紅葉がうしろのくらやみの

うつくしさを引き出しているのだ。

 

6:漢江人道橋爆破事件

 

1950年の朝鮮戦争のとき北朝鮮軍がソウルに進撃した。

漢江の橋を爆破しなければ敵軍が橋を渡って南下する。

4000の市民が人道橋を渡っていた。

橋は爆破され800人の死者がでた。

橋の北側の韓国軍は退路を断たれて総崩れとなった。

爆破命令を下した参謀総長は自分は命令していないと言った。

代わりに部下が責任をとって射殺された。

多くの人々を救うために何人かの人が犠牲となる。

責任を負うべき人が責任逃れをする。

部下が代わりに責任をとる。

現在もそしてこれからも変わることはない。

 

7:アフリカマイマイ

 

今日もゴミかごのそばにアフリカマイマイがおかれたいた。

だれかが持って来てわざとおいたのだろう。

保育園にもあちこちにおかれたいた。

どうしても私にかたづけてほしいようである。

どういう気持ちでとってきておいたのだろう。

自己弁解のつもりかそれとも私への責任追及か。

おいたあとはどういう気持ちなのだろう。

おかれたままのアフリカマイマイを見て

どういう気持ちなのだろう。

 

8:いじめ・いやがらせへの反応

 

いやがらせをすればそれにたいして

私が自己防衛をすると思っている。

自己アピールで自己防衛をすると思っている。

私の自己防衛は何もしないで無視することだ。

いじめ・いやがらせをすれば必ず何かの

反応があると思っている。

何も反応しないのが私の反応だ。

 

9:いじめ・いやがらせの目的

 

かれらのいじめ・いやがらせの目的を見つけた。

自分たちのメンツである。

私にコミュニケーションを求めているのではない。

私に働いてもらいたいのでもない。

かれらがやった結果は私の引きこもりだ。

引きこもりと自己アピールは完全に矛盾する。

私は自己アピールはしない。

これからもずっと引きこもりだ。

 

10:役所

 

役所は市民のために仕事をしているのではない。

自分たちのきまり通りに仕事をしているだけだ。

きまりをまもることが自分たちの仕事なのだ。

きまりをまもることが市民のためなのだ。

市民は自分のことは自分で心配しなけらばならない。

 

11:ぞろぞろ

 

コンビニに行った。

年老いた女の人がトイレの前に立っていた。

スーパーに行った。

待っていた人たちが私の前を

ぞろぞろぞろぞろと通って行った。

消毒液の前で女の人が立ちはだかっていた。

男性がいきよいよくカート押してきた。

私の目の前でカートがころげた。

中の商品がちらばった。

すぐ横を女の人が接触するほど接近した。

中では遠くから私をじっと男性が見ていた。

外に出ると私の間近に車がバックしてきた。

オートバイがそばを走り抜けた。

最後にすぐそばを市役所の車がゆっくりと過ぎて行った。

 

12:隠元橋

 

京都の伏見区の公園で早朝サイフを拾った。

紙幣が1万4千円と小銭が入っていた。

学生証が入っていた。

仕事が終わったあと交番に届けた。

書類の作成がめんどうであった。

小銭まで広げて確認させられた。

拾得者の権利は放棄した。

一年ほどたった。

隠元橋のあたりに用事があった。

あの交番が近くにあったので道を尋ねた。

おまわりさんが丁寧に地図を書いてくれた。

よくわかる場所まで案内してくれた。

隠元橋は思ったより大きく長かった。

 

13:はてしない距離

 

発達障害者と健常者には距離がある。

心そして精神の距離である。

健常者はその距離を実際の空間的な距離で

埋めようとする。

どんなに接近・接触してもその距離は埋まらない。

視線を合わせ挨拶をしてもそれは埋まらない。

コミュニケーションをしても埋まらない。

なぜ距離を縮める必要があるのか。

そのままでいいではないか。

 

14:フリッパー

 

小学校のころ「わんぱくフリッパー」という

アメリカのテレビ番組があった。

原題は単に「Flipper」である。

イルカが主人公であった。

はたしてイルカが主人公だろうか。

主人公はあくまで人間である。

「名犬ラッシー」という番組もあった。

主人公は犬であろうか。

ペットは今ではごく普通になった。

ペットを人間と同等だと思っている人がいる。

そのように思いたい人は多い。

そう思いたい自分に酔っている。

人間はあらゆる動物の上にある存在だ。

結局二つの番組はそう語っている。

となりの部屋で犬をむりやり泣かせている。

人間は動物を利用する生き物だ。

 

15:才能

 

才能はお金と結びついている。

お金を生み出さない才能は才能ではない。

私のウェブサイトはお金を生み出さない。

私には才能がない。

お金を生み出す才能のある人には

私のウェブサイトを生み出すことはできない。

 

16:不在者は悪者にされる

 

みんながそろっていっしょにタイムカードを押す。

そんな会社があった。

みんながみんな出勤が早い。

誰かが自分の悪口を言っているのではないか。

帰りはみんないっせいに帰る。

こんな会社を笑ってはいけない。

結局どこの会社でも不在者は悪者なのだ。

 

17:人類館事件

 

1903年の大坂博覧会で人そのものが展示された。

朝鮮・アイヌ・琉球・台湾高砂族などの人が展示された。

沖縄県は辻の遊女が琉球の貴婦人として展示された。

これに怒った太田朝敏は沖縄人とアイヌ・台湾高砂族を

同等に扱うのは恥辱であると抗議した。

これを逆差別であると思う人々は多い。

今の沖縄県民に自分たちが朝鮮・アイヌ・台湾高砂族と

同等だと思っている人がはたしているのであろうか。

 

18:ほうせんか

 

自閉症はみずからを閉ざしているのではない。

みずからが閉ざされているのだ。

健常者の理解から閉ざされているのだ。

心を外に向かって開くことができない。

もし生まれ変われるのなら

ほうせんかにでもなろう。

だれの手に触れてもその実を開く

ほうせんかにでも生まれ変わろう。

 

19:ちりの身はちりに帰す

 

人間はちりにすぎない。

死んで火葬されたあとはちりだ。

死んで初めてそれに気がつく。

なぜ生きているうちに気づかないのか。

気づく必要がないからか。

気づかないでおきたいからか。

生きている間はちりではないと思っているのか。

ただ外見がちりのようには見えないだけだ。

人間は人間のように見えるちりにすぎない。

 

20:宇宙のはて

 

宇宙にははてがないらしい。

たとえあったとしてもわれわれは

そこには行けない。

行けないところになぜ

そんなに興味があるのか。

行けなくてもただ単に

どのようなものか知りたいのか。

知れば宇宙をつかんだことになるのか。

宇宙の中にいて宇宙をつかめるのか。

 

21:公民館のマイク放送はゴミである。

 

「ゴミをおうちの中で保管するのは法律で禁止されています。」

一日になんどもなんども放送される。

公民館の騒音放送は法律で禁止されてはいないらしい。

私はひきこもり中であり月に3回しか買い物に出ない。

健康のために徒歩である。

月に買い物バック3杯しか家に持ち込まない。

いったいどれだけのゴミがたまるのだろうか。

公民館は市民の良識を信用していない。

自分たちには良識があると思っている。

公民館のマイク放送はゴミである。

それを自覚しているからこそ頻繁に表に出すのだろう。

 

22:ひとりだけの詩は詩か

 

私の詩はネットで公表されている。

それを読み人がひとりもいなくても

公表されていれば詩である。

読者の数で詩のよしあしは決まらない。

詩によしあしはない。

私の詩に共感する人が一人でもいれば

私の詩は立派な詩である。

私の詩を批判する人が一人でもいれば

私の詩は立派な詩である。

 

23:Solitude

 

I am in solitude.

Solitude is my best friend.

A friend would never give me solitude.

What is a friend.

It is the friend that makes me be myself.

I can be myself only in solitude.

 

24:道は近きにあり

 

道(みち)んでぃ言(い)いしぇえ自分(どぅう)ぬ夢(いみ)ぬ事(くとぅ)。

道(みちぇ)え常(ちゃあ)自分(どぅう)ぬ側(すば)。

何故(ぬうんち)遠(とぅう)く許(びけ)え探(とぅめ)え而居(とお)が。

遠(とぅう)くねえ何(ぬう)ん無(ねえ)らん。

側(すば)に有(あ)いしがどぅ自分(どぅう)ぬ夢(いみ)。

何故(ぬうんち)分(わ)からんがやあ。

 

25:創作おもろ

 

神(かみ)ぬ降(う)りてぃ遊(あし)び給(ゆわ)りば

天(てぃに)ん地(ぢい)ん輝(きゃあ)かてぃ

海(うみ)ん浜(はま)ん輝(きゃあ)かてぃ

鳥(とぅい)や舞(め)え上(あ)がてぃ

蟹(かに)や踊(うどぅ)い走(は)い

山(やま)や青青(おおおお)とぅ

雲(くむ)や白白(しらじら)とぅ

人(っちゅ)や安安(やしやし)とぅ

国(くに)や栄(ふぇえ)てぃ

首里御城(しゅいうぐしく)や

何時(いち)までぃん

沖縄(うちなあ)見守(みまむ)り

 

26:140年ぶりの部分月食

 

140年ぶりとはどういう意味か。

前回もこれを見た人がいるのか。

千年に一度一万年に一度。

どこがありがたいのか。

今のこの一瞬はもう二度と来ない。

130億年に一度であり二度と来ない。

 

27:哲学なんかどうでもいい関係ない

 

なぜ哲学に関心のある人が少ないのか。

哲学を勉強する労力よりも

その結果として得られるものが

はるかに小さいからだ。

お金・地位・名誉・娯楽・幸福など

哲学がそれらをもたらすことはない。

現代の人たちがもっとも欲しがっているもの

そこからはるかに遠いところに哲学はある。

 

28:耳の傷あと

 

小さい頃に馬に耳をかまれた。

耳ごと体を持ち上げられた。

それ以来哺乳動物に過剰に反応する。

女の人に三匹の犬をけしかけられた。

私が犬をこわがることを知ったらしい。

私の部屋のそばを犬が声を上げて通る。

前のアパートで犬がなく。

部屋のドアの前で犬に大声を出させる。

となりの部屋で犬をはやしたてる。

夜寝ている時に犬をあやす。

 

29:ニューヨーク恋物語

 

33年ほど前に「ニューヨーク恋物語」という

テレビドラマがあった。

8人の日本人男女のはかない夢を描いていた。

ニューヨークの中で8人は外の世界から閉鎖されている。

ニューヨーカーとはほとんどまったく

コミュニケーションがないのだ。

あれば字幕だらけとなる。

日本人が外の人たちとほとんど関わることなく生きている。

そこがうけたのだろう。

日本人は外国にいると外の世界から閉鎖されている。

外国人とのコミュニケーションが下手なのだ。

日本人は誰でも外国では自閉症なのである。

外国に行けば自閉症がどういうものなのかよくわかる。

 

30:折りたく柴の木

 

新井白石の学識は驚異的である。

しかし彼は当時の社会から孤立してはいない。

当時の社会制度・道徳・常識・武士道・儒教から

抜け出すことはできない。

「折りたく柴の木」を読めばよくわかる。

7才以下の者は喪服の必要があるかないか。

どうでもいいことに数ページを費やしている。

学者というのは社会から抜け出すことができない。

抜け出しているように見えてもきちんと

そこに居場所を見つけている。

 

31:冷蔵庫

 

冷蔵庫の音がうるさい。

夜は特に。

中国製である。

買って2年しかたたない。

私は慣れていた。

そろそろ限界だ。

冷蔵庫の電源を切った。

これからは冷蔵庫のない生活だ。

冷蔵庫の便利さがよくわかる。

人間の便利さもよくわかる。

冷蔵庫がなくても

十分に生きていけるのだ。

 

32:深夜の仕事

 

深夜の仕事経験がある。

発達障碍者には向かない。

昼夜が逆転してしまう。

一件家ならいいが

アパートはそうはいかない。

睡眠不足はうつの原因だ。

うつは発達障害者には致命的だ。

発狂あるいは自殺の原因ともなる。

防衛本能があったのであろう。

まもなく深夜の仕事はやめた。

 

33:哲学と神の存在

 

西洋の哲学者は神の存在から抜け出せなかった。

パスカル・デカルト・カント・ヘーゲル・キルケゴール。

神を否定すると読者・同意者を得られない。

社会人としての自分自身があぶなくなる。

などが原因であろう。

「神は死んだ」と言ったニーチェはすごい。

以後哲学の世界が広がった。

神の存在を肯定する哲学も否定する哲学もどちらも哲学だ。

最初から神を問題にしない哲学もある。

神を肯定した哲学が長い間ふつうだったのが不思議だ。

 

34:コロナ禍と発達障碍

 

発達障碍者はコロナ禍向きである。

なるべく人と接近・接触しないほがいい。

できるだけ外出をさけ家にいたほうがいい。

人とのコミュニケーションはひかえたほうがいい。

 

35:顔マスク

 

コロナ禍が終了しても

私は外出時にマスクをはずさないだろう。

マスクは自閉症者に向いている。

顔の半分をかくせるのはありがたい。

たぶん自閉症者以外の一般人も

マスクをはずさない人が多いことだろう。

顔をかくしたい人は意外に多いのだ。

 

36:仕事とは何か

 

お金を生み出さないのは仕事ではないらしい。

役所の人が私に仕事を探せという。

ウェブサイト・ユーチューブはお金にならない。

だから仕事ではないらしい。

「おもろそうし」の第一巻を朗読するのに

これから勉強をし始めてどのくらいの時間が必要か。

1000時間では無理である。

10000時間だとなんとかなるかもしれない。

わずか21分の動画制作に400日はかかるのだ。

これはお金にならないので仕事ではないらしい。

テストの採点は仕事らしい。

生えていない草をむしるのも仕事らしい。

お金にならない仕事はいったい誰がするのだろう。

お金になる仕事は63歳までやったのである。

仕事をしながら勉強したその結果として

ウェブサイト・ユーチューブがあるのだ。

私が仕事をしながら勉強している間に

みんなは何をしていたのだろう。

遊びながら定年後の資金を貯めていたのだろう。

定年後の資金のない人は人間ではないらしい。

 

37:ゲームとSNS

 

私はゲームもSNSもしない。

ゲームもSNSのことも全くわからない。

一日にどのくらいの時間を費やすのか。

昔の人はその時間にいったい何をしていたのか。

別にひまであったわけではないだろう。

自動車・洗濯機・乾燥機・掃除機・食器洗い機。

便利になった分がゲーム・SNSに変わったということか。

便利さはかならずしも豊かさを生みだしはしない。

 

38:部屋のそばの通りを大声でゆく人達

 

大声をひびかせて部屋のそばの通りをゆく人達。

いったい私に何を訴えているのだろう。

むなしいさびしいわびしいかなしいひびきだけが

通り過ぎてゆく。

 

39:おもろさうし朗読

 

ユーチューブでおもろさうしを朗読した。

アイヌのユーカラは音声録音がある。

おもろさうしにはそれがない。

沖縄県民でおもろさうしの朗読を

聞いたことのある人はいるだろうか。

おもろは文字があるばかりに

音声をおろそかにしてきたのだ。

私はそれを再生しようと思った。

視聴回数は沖縄県民の文化度の問題だ。

私の問題では全くない。

私は人に宣伝したりはしない。

ユーチューブの宣伝は私の仕事ではない。

来年は祖国復帰50年である。

 

40:詩を書く時間

 

詩を書くのにどのくらい時間がかかるのか。

私の場合それほど時間はかからない。

頭の中にすでに詩があるからだ。

詩はこれまでの私の経験である。

書き始めるとことばが私をみちびく。

私がことばを駆使するのではない。

書き始めるのに時間がかかるのだ。

書き始めるまでの時間が長い。

その時間とは考える時間であり

過去の経験をふりかえる時間である。

ワープロに向かっている時間だけが

詩を作る時間ではない。

 

41:アルコール

 

アルコールはストレス発散になる。

ただし飲み過ぎると翌日はうつに似た状態となる。

若い頃はあびるように飲んだ。

今はどのようにストレス発散しているのか。

詩を書くことである。

詩にかぎらず文章を書くことは

ストレス発散効果が大きい。

挑戦する価値が充分ある。

 

42:科捜研の女の風丘早月

 

風丘早月は私の理想の女性である。

まず美人である。

目がさめるような頭のよさ。

なんといってもやさしい。

怒ったところを見たことがない。

どんな困難な状況でも冷静である。

何事も恐れない。

気配りが細やかで行き届いている。

このような女性は現実には存在しない。

 

43:斎藤勇

 

私が詩を書くきっかけとなったのは

斎藤勇の「英詩概論」にある次のことばである。

「詩人は彼の念頭に浮かぶ

いかなる事柄を筆にしても差し支えない。」

また次のことばが私にずうずうしくも詩を書かせている。

「詩を読み詩を愛する者は既に彼が詩人である。」

 

44:おにぎり2個

 

西郷隆盛は明治維新後に参議となった。

現在の大臣である。

弁当がおにぎり2個とたくあん二切れであった。

ほかの同輩は料亭から取り寄せた高級弁当であった。

西郷は自分でおにぎりをむすんだ。

いまだに人気があるのがよくわかる。

 

45:伊東祐亨

 

部屋に伊東祐亨直筆の軸が掛けてある。

初代連合艦隊司令長官である。

黄海海戦で清の北洋艦隊に勝利した。

服毒自殺した丁汝昌司令官の遺体を

没収した商船で清まで送り届けさせた。

政界に転進する軍人は多かった。

彼はきっぱりと引退した。

現在の官僚は政治家になりたがる。

 

46:いやがらせにはいやがらせ

 

いやがらせにはいやがらせで対抗する。

という私のことばを言い訳にしていやがらせをする。

いやがらせを自分たちみずからが認めたのである。

それに彼らは気づいてはいない。

気づいたとしても言い訳を持っている。

彼らには論理というものが存在しない。

 

47:You don’t know anything

 

You don’t have to know anything.

You can live without knowing anything.

Knowing something makes you live hard.

To know is to go nowhere.

To know nothing is to go everywhere.

 

48:巧言令色鮮し仁

 

油口(あんだぐち)為(し)笑而居(わらとお)しぇえ

肝心(ちむぐくる)ぬ無(ねえ)ん人(っちゅ)。

誠(まくとぅ)ぬ肝心(ちむぐくる)や

面(ちら)んかいや出(ぃん)じらん。

言葉(くとぅば)しん語(かた)ららん。

人(っちゅ)ぬ肝心(ちむぐくる)見欲(みいぶ)さねえ

自分(どぅう)ぬ肝心(ちむぐくる)真直(まっとおば)

成(な)さんねえ成(な)らん。

 

49:村上慈海

 

部屋に村上慈海直筆の軸が掛けてある。

金閣寺が戦後まもなく消失した時の住職であった。

三島由紀夫の「金閣寺」に登場する住職である。

「大夢」の二文字が書かれている。

慈海は消失の責任から各地を行脚して再建の寄進をした。

金閣寺の正式名称は鹿苑寺金閣である。

二度参詣したことがある。

いかにも中国人が好みそうなきんきらきんである。

たしかに圧倒される景観であるが

なぜ金箔なのかよくわからない。

寺はもっと質素であるべきなのでは。

と思うのは私だけか。

 

50:後藤良平

 

部屋に後藤良平のアクリル画が掛けてある。

いつ見ても引き込まれる世界である。

宇宙の創生と宇宙のはてを思わせる。

死ぬとこういう場所に行くのかもしれない。

人間には想像もつかないようなことを

表現できているように思う。